「300にレイズされたら、300を追加するの?」「最低いくつまで上げられる?」。この迷いは、合計額・追加額・レイズ幅を分けると整理できます。この記事では、チップを動かす前に必要な数字を確認する練習をします。
対象はノーリミット・テキサスホールデムです。例はSB50/BB100、アンティなし。数字はチップの額面の合計で、円でも枚数でもありません。特に断りのない例では、全員に十分な持ちチップがあるものとします。
まず「枚数」と「額面」を分ける
100点チップ3枚も、300点分を別の組み合わせで出しても、合計は300です。色や厚みだけで判断せず、印字された数字と店舗の案内で額面を確認しましょう。自分の手元にあるチップの合計を「スタック」、そのハンドで出されたチップの集まりを「ポット」と呼びます。
出したチップは自分の財布の中ではなく、争っているポットの一部です。降りた人が出していた分も原則として残ります。また、前のラウンドの支払額は、次のラウンドで新しく求められるコール額から差し引けません。
使えるアクションは「合わせる額があるか」で分かれる
| 状況 | 基本の選択肢 |
|---|---|
| そのラウンドでまだベットがない | チェック:追加なしで番を渡す/ベット:そのラウンドの最初の額を出す |
| プリフロップで誰もレイズせず、BBに順番が来た | チェック:追加なしで番を渡す/レイズ:必要額を上げる |
| 相手の額に合わせる必要がある | フォールド:降りる/コール:必要額に合わせる/レイズ:必要額を上げる |
フロップでまだ誰も出していなければ、最初に200を出す行動は「ベット200」。相手がすでに200をベットし、あなたが合計500へ上げるなら「レイズ、合計500」です。チェックは、払う必要がある額を無料にする手段ではありません。
プリフロップはBB100がすでにベットとして存在します。そのため、最初に合計300へ増やす人も「レイズ」です。全員が100に合わせてBBの番になったなら、BBは追加なしのチェックかレイズを選べます。
コールの追加額は「今の必要額-自分がこのラウンドで出した額」
あなたはBBとして100を出しています。相手が合計300へレイズし、その後に額が変わらず自分の番になりました。コールする追加額は300−100=200です。300を新たに足すと合計400になり、意図が伝わりにくくなります。
| あなたの状況 | 合計300へのコールに追加する額 |
|---|---|
| まだこのラウンドで出していない | 300−0=300 |
| SB50を出している | 300−50=250 |
| BB100を出している | 300−100=200 |
共通カードが新しく出て次のラウンドに移ると、そのラウンドでの拠出額は0から数えます。プリフロップで300を払っていても、フロップの200ベットにコールするには新たに200が必要です。アンティを採用するゲームでも、アンティは通常コール額の前払いにはなりません。
最小レイズは「前の合計額の2倍」ではない

オールインの例外を除き、レイズには最低の上げ幅があります。次の最低合計額=現在の必要合計額+そのラウンドの直前の有効なレイズ幅です。まだレイズがなければ、ベット額(プリフロップではBB)が基準になります。
BB100から相手が合計300へ上げた幅は、300−100=200です。次の最小レイズは300+200=合計500。あなたがBB100を出しているなら、「レイズ、合計500」と宣言し、追加するのは500−100=400です。
整理すると、相手の合計300に対して「コール」は追加200、「最小レイズ」は合計500になるよう追加400。追加400のすべてがレイズ幅ではありません。200は相手に並ぶ分、残り200が上げる分です。
そのあと相手が合計800へ再レイズすると、直前の上げ幅は800−500=300へ変わります。次の最小レイズは800+300=合計1,100です。常にBB分だけ足すのでも、常に前の合計を2倍にするのでもありません。
英語の「raise to 500」は合計500まで、「raise by 200」は200上げるという意味です。日本語でも「200レイズ」だけだと曖昧になりがちなので、「レイズ、合計500です」と最終的な合計額を伝えると分かりやすくなります。
ポットとベット額を、1本の計算で追ってみよう
6人卓で、UTG・HJ・COが降り、BTNが合計300へレイズ。SBは降り、BBだけがコールした例です。アンティや手数料は計算に含めません。
| 起きたこと | その時点のポット |
|---|---|
| SB50とBB100を置く | 50+100=150 |
| BTNが合計300を出す | 150+300=450 |
| SBがフォールド | 450のまま(SB50は残る) |
| BBが200を追加してコール | 450+200=650 |
| フロップでBBがチェック、BTNが300ベット | 650+300=950 |
| BBが300をコール | 950+300=1,250 |
フロップでBTNが出した300は、新しいラウンドのベット額です。プリフロップの合計300とは別に数えます。一方、ポットはラウンドが変わっても引き継がれるため、650から増えていきます。
ルール上出せる額と、戦略として選ぶ額は別
ノーリミットでは、その時点で手元に残っているチップをすべて出すこともできます。すでにポットへ出した分を、もう一度使うことはできません。ポット650に対し、300も650も、十分なチップがあればルール上選べる額です。ただし、合法だから良い判断とは限りません。
650の半分は325です。「ハーフポット」はその時点のポットの約半分を表す言い方で、最低ベットの意味ではありません。BB100なら、通常の最小ベットは100。ポットより多くベットすることもできますが、最初は大きさの名前より実際の数字を確認しましょう。
大きく出すほど、負けたときに失うチップも増えます。相手からコールしてほしいのか、降りてもらいたいのか、そして自分と相手にいくら残るのかを考えるのが次の段階です。「いつでも半分」「強い手なら必ず大きく」といった固定ルールにはしないようにしましょう。
チップを出す前に、言葉で明確にする
- 確認したいとき:「いま合わせる合計額はいくつですか?」「追加はいくつ必要ですか?」
- コールすると決めたら:「コール」
- 上げると決めたら:「レイズ、合計500です」
- 最小額が不明なら、宣言前に:「金額を上げる場合、最低の合計額はいくつですか?」
「コール」と言ってから金額を聞くと、すでにコールする意思を確定した扱いになることがあります。確認を先、宣言を後にしましょう。TDA Rule 3-Bでは、質問に含めたアクション用語も宣言と判断される場合があるため、質問は「金額を上げる」のような表現に分けます。レイズは合計額を先に明確に伝えるか、必要なチップを一度の動作で出します。
相手の300ベットに対し、何も言わず1,000点チップを1枚出すと、通常は1,000へのレイズではなくコール扱いです。また、黙って少し出し、相手を見てからチップを足す動きは避けてください。困ったら手を止め、ディーラーの案内に従います。
オールインが入ったら、追加の確認を
持っているチップをすべて出す「オールイン」では、通常の最低額に届かない場合があります。その小さな上乗せによって、すでに行動した人が再レイズできるかは別の問題です。まずは「私はここで金額を上げる選択ができますか?」と確認できれば十分。参加者ごとの取り分が分かれるサイドポットは別の練習に分けましょう。
確認クイズ|合計と追加を分けて答えよう
問1:SB50を出したあなたに、合計400のレイズが回ってきました。コールに追加するのはいくつ?
答え:400−50=350です。
問2:BB100から誰かが合計400へレイズ。オールインなしの場合、次の最小レイズはいくつ?
答え:上げ幅は400−100=300。最低の合計額は400+300=700です。
問3:フロップ開始時のポットが900。Aが300ベットし、Bが300コール。ポットはいくつ?
答え:900+300+300=1,500。ベットとコールの両方を足します。
参考にした公式ルール
基本アクションとノーリミットの扱い:PokerStars「Poker Rules」、Texas Hold’em Poker。宣言、レイズ幅、大きなチップ1枚、再レイズの扱い:Poker TDA 2026 Rules Rules 3-B、43–49、53、58。2026年10月5日確認。TDAは大会向けの基準で、実際には参加店舗・大会が採用するルールと裁定を確認してください。
