MTTのスタック別の考え方|残りBBと相手のチップから学ぶ順番

スタック別の考え方。高さの異なるチップの束と、確認項目を整理する空欄のノート。

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MTTでチップが減ってくると、「あと何回参加できる?」「もうオールインしかない?」と気になるかもしれません。最初に身につけたいのは、残りBBだけで結論を出さず、相手のチップ、次のレベル、大会の入賞条件まで順番に確かめる習慣です。

MTTはMulti-Table Tournamentの略で、複数のテーブルで始めて参加者を絞っていく大会です。この記事では、通常の順位別プライズがあるノーリミット・テキサスホールデムのMTTを想定します。リングゲームの参加・退席や追加チップの扱いとは前提が違い、再参加の可否も大会の規定によります。

読み終えたら、「自分は何BBか」「この相手とは何BBで戦うか」「次に何が変わるか」を別々に説明できれば十分です。以下の数字はすべて学習用の架空例で、特定の大会や推奨プッシュ表を示していません。

まず残りチップを今のBBで割る

残りBB=自分のチップ÷現在のビッグブラインドです。36,000点を持ち、BBが1,200点なら30BB。次のレベルでBBが1,800点になると、チップが同じでも20BBになります。

この違いは、相手に負けてチップが減ることとは別です。大会では基準となるBB自体が上がるため、「さっき30BBだった」という認識を持ち越さず、レベル変更後に計算し直します。アンティがあっても、BB換算の分母はBBだけです。

本記事のスタックは、前のハンドが終わり、次のハンドのブラインドやアンティを出す前の数値にそろえます。復習メモでも、ハンド開始時なのか、途中の残りチップなのかを区別しましょう。

毎回同じ順番で見る4項目

1 自分のBBを確認する

まず現在の深さを把握します。「ディープ」「ミドル」「ショート」という呼び方は便利ですが、境目は文脈によって違います。学習資料を読むときも、「ショート向け」だけで済ませず、何BBを想定しているかを確認します。

2 相手との有効スタックを確認する

1対1の有効スタックは、そのハンドで互いに出し合える上限となる、小さい側のスタックです。自分30BB、相手12BBなら12BB。自分30BB、相手60BBなら30BBです。自分のBBが同じでも、相手が変われば争える量が変わります。

相手のほうが多く、自分が全チップを失い得る関係は「カバーされている」と表現します。自分より少ない相手との1対1なら、その相手に負けるだけで自分の全チップがなくなるわけではありません。複数人が参加したら、相手ごとの有効スタックを見ます。

3 次のレベルとアンティを確認する

次のBB、レベルが変わるまでの時間、アンティの方式を確認します。今のBBに余裕があるように見えても、間もなく基準が上がることがあります。ただし、残り時間をそのまま「あと何ハンド」とは換算できません。

4 残り人数とプライズを確認する

入賞まで何人か、次の順位で何が変わるか、自分より短い人や自分をカバーする人がどれだけいるかも見ます。大会ではチップの増減と賞品価値が同じ割合で動くとは限りません。基礎となる考え方はPokerStars Learn「ICM, and Its Impact on Tournaments」でも紹介されています。

自分のBB、相手との有効スタック、次のレベル、残り人数とプライズを順に確認する4項目。残りBBだけで行動を決める表ではない。

自分のBBと有効スタックは別の確認です。次のレベル、残り人数、プライズまで前提をそろえて学びます。

60BB・30BB・12BBを同じ条件で比べる

現在BB=1,000点、次のレベルはBB=1,500点、1対1で比べる相手は80,000点とします。自分だけが60,000点、30,000点、12,000点と違う3つの場面です。ポジションや手札、プライズはここでは指定しないため、具体的な参加ハンドは決められません。

比べる項目ケースAケースBケースC
自分のチップ60,000点30,000点12,000点
現在の深さ60BB30BB12BB
相手との有効スタック60BB30BB12BB
増減なしで次レベルを迎えた場合40BB20BB8BB
学習用の架空例。同じ時点のチップを現在・次レベルのBBで換算しています。

試しに、ブラインド位置以外から合計2,000点までレイズしたと考えてみます。支払う2,000点は、開始時スタックの約3.3%、約6.7%、約16.7%です。同じ2BBの参加でも、残りに対する割合は大きく違います。このレイズ額を推奨しているわけではありません。

深いときは、フロップ以降にも何度か判断するためのチップが残りやすくなります。浅くなると、小さく参加して後で降りるだけでも残りの大きな部分を使います。そのため、取りやすい戦略の選択肢や、オールインを検討する場面が変わります。

ただし、「浅くなるほど参加ハンドを一律に増やす」とは限りません。GTO Wizard「How Stack Sizes Change Your Range」は、特定のMTTモデルで、深さによりハンドの組み合わせやアクションが変わる様子を示しています。本記事では、そのモデルの頻度を全大会の正解として転用しません。

自分から参加する場面と、レイズに対応する場面を分ける

同じ12BBでも、自分まで全員がフォールドした場面と、前の人が2.5BBへレイズした場面は別の問題です。前者では、自分からどのように参加するかを考えます。後者では、相手の参加ハンドの候補、すでにあるポット、追加で必要な額、後ろに残る人を確認します。

オールインも、自分が最初に入れる場合と、相手のオールインにコールする場合で意味が違います。先にオールインすれば相手が降りる可能性がありますが、コールではその相手を降ろせません。必要な前提が違うため、片方の表をもう片方に使わないようにします。

「10BBなら全部プッシュ」「20BBあればフロップを必ず見る」といった一つの決まりにはできません。BBは状況を整理する入口です。ポジション、人数、先行アクション、アンティ、相対スタック、プライズまでそろえて初めて比較できます。

スタック別の学習は、前提を一つずつそろえる

  1. まず、ポジションと自分までのアクションを書き出す。
  2. 次に、自分と相手の開始時BB、アンティ方式を記録する。
  3. 同じ条件で深さだけが違う学習例を比べる。
  4. 入賞や順位差が関係する場面は、チップだけの評価と分けて復習する。

手札の強さを覚える段階なら、スターティングハンドの基本に戻ってもかまいません。行動する順番が曖昧なら、ポジションと行動順を先に確認すると、同じ12BBでも判断が違う理由を整理しやすくなります。

確認問題

  1. 36,000点、BB1,200点なら何BBですか。次のBBが1,800点ならどうなりますか。
  2. 自分30BB、相手12BBの1対1で、有効スタックは何BBですか。
  3. 同じ12BBなら、最初にオールインする場合と、相手のオールインにコールする場合は同じですか。
  4. 入賞直前に20BBあれば、それだけで参加ハンドを決められますか。

答え

  1. 現在は30BB。チップが変わらずBBが1,800点になると20BBです。
  2. 12BBです。今回の相手と出し合える上限は小さい側で決まります。
  3. 同じではありません。先に入れる側には相手が降りる可能性があります。コールする側はその相手を降ろせません。
  4. 決められません。相対スタック、残り人数、プライズ、位置、先行アクションなどが必要です。

今日の練習と次のテーマ

架空のハンドを一つ選び、「現在のBB→相手との有効スタック→次のレベル→プライズ」の4行だけ書いてみましょう。手札の正解を急ぐより、判断の前提を落とさず記録する練習になります。資料や計算ツールでの復習はプレー前後に行い、進行中は主催者のルールを守ります。

次に学ぶテーマは「ICMの基本」と「ストラクチャーの読み方」です。大会参加の全体像を確認したい場合は、初めてのポーカートーナメントも参照してください。

参考にした一次情報

内容確認日:2026年10月6日(日本時間)。例題は本記事用に作成しています。特定の成績を保証するものではなく、海外サービスの登録・利用を案内する記事でもありません。