自分が持つカードは、相手の手札には入れられません。そのため相手の候補が減りますが、減るのは強い手札だけとは限りません。ベットに降りてくれそうな候補まで、一緒に減っていることがあります。
ブロッカーを考えるときは、「何が消えたか」に加えて、「続ける側と降りる側の、どちらから消えたか」を見てみましょう。自分にAがあるというだけでは、ブラフの理由は完成しません。
対象はノーリミット・テキサスホールデムの1対1です。以下のカードと反応は独自の架空教材。実戦のレンジ、観測した頻度、ソルバーの解析結果ではありません。
ブロッカーは まずカードの重複を除くこと
自分がA♠を持っていれば、相手は同じA♠を持てません。相手候補としてA♠K♥を書いていたなら、その2枚組は除きます。このようなカード除去の効果を考える言葉がブロッカーです。
場に見えているカードも同じです。ボードにK♠があれば、相手のK♠を含む候補は使えません。ここまでは相手の性格や行動の予想に関係なく、カードが重複できないことから分かります。
ただし、カードとして可能な組み合わせが全部、同じ程度に相手へ残っているわけではありません。どんな手札で参加し、途中で何をしたかも関わります。候補を考える基本は「ハンドレンジの読み方」で扱っています。
相手の候補を 反応ごとに分ける
今回は、自分がある額をベットしたとき、相手がどう反応するかを仮に分けます。
- 続行する候補:コールやレイズでハンドを続けると仮定した2枚組
- フォールドする候補:その額には降りると仮定した2枚組
相手を降ろしたい場面では、続行する候補が減ることに注目しやすくなります。一方、降りる候補も多く消えているなら、期待したフォールドの中身も減っています。両方の列を確認する必要があります。
同じ手札でも、ベット額が変われば反応は変わり得ます。「Kのペアは常にコール」「Aハイは常にフォールド」という分類ではありません。まず、どの額への反応を考えているのかを固定します。
同じボードで 8組だけの教材を作る
リバーのボードはK♠ Q♦ 8♣ 4♠ 2♥。ポットは900、相手がチェックし、自分が300をベットする場合を考えます。両者の残りは2,000で、額の不足はありません。チップはゲーム内の教材値で、アンティなど過去の拠出は現在のポットへ計上済みです。ここでは手数料や賞品価値の計算はしません。
自分のカードをまだ当てはめる前に、相手について、次の8組だけを練習用に置きます。Tは10です。
- 続行と仮定:A♠ K♥、A♣ K♦、K♣ Q♥、Q♣ Q♥
- フォールドと仮定:A♠ J♠、A♥ J♥、J♣ T♣、9♠ 7♠
続行の列には、Kのペア、KとQのツーペア、Qのスリーカードがあります。フォールドの列は、この教材で300に降りると置いたものです。どの手札も実際にそう動くと主張しているわけではありません。
8組は一人の相手が持ち得る別々の可能性です。8人が同時に持つ手札ではないので、別の候補同士でQ♥などが重なっていても問題ありません。一つの候補の中や、実際に見えているカードとの重複を確認します。
比較A 自分がA♠T♥なら両方の列から消える
自分の手札をA♠ T♥とします。ボードには自分の2枚と同じカードはありません。相手候補のうち、A♠かT♥を含む組を探します。
- 続行の列から消える:A♠ K♥
- フォールドの列から消える:A♠ J♠
- 残るのは、続行3組とフォールド3組
A♠を持つことで、Kのペアの候補を一つ除けました。同時に、降りると仮定したA♠J♠も除いています。「続行候補を減らすカードだから有利」とだけ言うと、後半を見落とします。
T♥は、この8組のどれにも含まれていないため、今回は追加の候補を消しません。実際にはほかのT♥を使う手札が候補に入ることもあります。消えなかったという結果も、この小さな教材の中の話です。
比較B 自分がA♣T♥なら残り方が変わる
今度は同じボード・同じ8組で、自分の手札だけをA♣ T♥へ変えます。比較Aとは別の場面として、最初の8組からやり直します。
- 続行の列から消える:A♣ K♦
- フォールドの列から消える:なし
- 残るのは、続行3組とフォールド4組
こちらも続行候補を一つ除きますが、フォールド側の4組は残ります。比較Aで消えたA♠J♠も、比較Bではカードとして可能です。
両方とも自分はAとTを持っています。それでもAのスートが違うため、候補の残り方は違いました。Aというランクだけでなく、どのAかまで確認する理由が分かります。
なお、比較Bに比較AのA♠まで持ち込んで除外してはいけません。自分の手札を取り替えた比較なので、その場面で見えているカードだけを使います。

アンブロッカーは 必要な相手候補を残す見方
アンブロッカーは、相手に残ってほしい種類の候補を、自分のカードで消していないことに注目する考え方です。相手のカードを増やしたり、新しく作ったりする効果ではありません。
今回、相手に降りてもらう狙いを考えるなら、A♣T♥はA♠J♠というフォールド候補を残しています。A♠T♥との比較で、どの候補をブロックせずに残しているかを言葉にできます。
残したい候補は目的によって変わります。弱い手からコールを得たい場合なら、その弱いコール候補を消していないかも確認します。「アンブロッカー」という名前だけで、カードそのものにいつでも同じ価値が付くわけではありません。
削除した数は そのままフォールド率にならない
比較Aでは3組と3組、比較Bでは3組と4組が残りました。ここから相手の実際のフォールド率を半分や何%と計算することは、この教材ではしていません。
8組に等しい重みを与えていないためです。実際には、それぞれの手札でプリフロップに参加した割合、フロップやターンで続けた割合、リバーでその額に反応する割合が異なります。この8組以外の候補もあり得ます。
「降りる候補が多く残った」と「必要なだけ降りてもらえる」は、別に確かめる問いです。ブラフに必要な成功率の計算は「リバーブラフの必要成功率」で学べますが、その数字が相手の現実の反応を教えてくれるわけではありません。
チェックで勝てる相手も確認する
このボードでA♠T♥やA♣T♥を持つ自分は、Aハイです。相手がJ♣T♣や9♠7♠なら、追加せずに見せ合っても勝っています。候補除去の比較だけでは、このチェックの価値を評価していません。
そのため「比較Bのほうがフォールド候補を残すから必ずベット」とは結論できません。何に降りてもらいたいのか、何にはすでに勝っているのか、レイズされたらどう考えるのかが残ります。
ブロッカーは判断材料の一つです。まだ出るカードがある場面なら、自分が改善する見込みなども加わります。候補を消す作業と、行動を選ぶ作業を一度分けると、分かっていない条件が見つかります。
理解できたか 3問チェック
- この教材で自分A♠T♥なら、続行のA♠K♥だけを除き、フォールドのA♠J♠は残してよい?
- 自分をA♣T♥へ変えた比較Bでも、比較Aで使ったA♠を除外し続ける?
- 比較Bでフォールド候補が4組残った。これだけで実戦のフォールド率やベットの正解が分かる?
答えと理由
- 残せません。A♠は同じ1枚なので、どちらの候補も不可能になります。
- 除外しません。比較Bは別の手札で最初から確認する場面です。A♠J♠は候補に残ります。
- 分かりません。各候補の重み、ほかの候補、相手の反応、チェックの価値などが未評価です。
今日の小さな練習
8組の候補を書き、自分のカードと重なる箇所に印を付けてみましょう。最後に「続行から何が消え、フォールドから何が消えたか」を別々に説明します。
相手の全候補とコール候補の区別は「リバーの薄いバリューベット」へ。資料を使った整理はプレー前後に行い、会場のルールを守ってください。
参考にした一次情報
- GTO Wizard「Blockers & Unblockers: The Secret to Picking Great Bluffs」
- GTO Wizard「We’re At The River. Our Hand Can’t Win. Now What?」
内容確認日:2026年10月6日(日本時間)。用語・論点は上記の一次資料を参照し、記録例・カード例・数値モデル・確認問題は本記事用に作成しました。GTO Wizardの研究は設定した条件に基づくもので、全場面の最適解を保証するものではありません。海外サービスの登録や利用を案内するものではありません。

