ハリスホーク関連

なぜ野生のインコに興味を持ったのか 野鳥カメラマン岡本勇太の野望

鳥好きの集まり

野鳥撮影に人生をかける写真家の岡本勇太さん。

飼育鳥として人気のあるオカメインコやセキセイインコの野生生活に興味を持ったのは高校生の頃。

高校2年生の頃にオカメインコの「コンピー」を飼育したことがきっかけとなり、野生での生活に興味を持った。この記事を公開した2019年4月現在、14歳になりました。今でも一緒に元気に暮らしています。

飼育本などを見ても野生での生活は取り上げられておらず、オーストラリアの内陸部で群れを作って生息していることだけは知っていたため、「いつか見に行きたい!」そんな気持ちを持ったまま時が過ぎていく。

翌年の高校3年のときにカメラを購入して野鳥カメラマンとしてスタート。

そんな岡本勇太さんの書籍などを紹介しながら野鳥、野生のインコ撮影、ワーキングホリデーなどの情報を説明しながら今までのルーツ、岡本さんのこれからに迫る!

 

岡本勇太のプロフィール

高校生の頃、オカメインコのコンピーを飼い始めてから、野生のインコたちの資料はほとんど存在しないことに気づき、2009年にオーストラリアに初渡豪。

野生のインコの写真集「beauty in the nature」を出版。

 

高校卒業後、専門学校で野生動物学科を専攻し、海外に興味はあったものの行けずじまい。

1度就職したが1年程で退職し、鳥類調査のバイトなどで食いつないでいた。

その後2009年~2011年の間に4回オーストラリアにいくこととなった。

2011年に新宿で写真展を行い、1つ形になったが消化不良のまま。このまま上積みはないかもしれないと思い、1度フリーの写真家から離れることに。

その後は地方新聞記者及びカメラマンを経て、地元小田原の市の鳥「コアジサシ」を撮影していた。

現在はフリーの野鳥写真家として活動中。

誠文堂新光社の季刊誌「コンパニオンバード」や科学雑誌「ニュートン」などに野生のインコの写真及び記事の寄稿を行う。

 

岡本勇太さんと初めてあったのは2015年

鳥好きの集まり

twitterで鳥オフ会があり、そこで出会ったときの写真です。

猛禽とインコ類で別々の道を進んでいっていました。(左の鳥くん♪は野鳥メイン)

みんな若いですね…w

あのときいた皆さんは元気にしているのでしょうか?Facebookの更新だけはチェックしていますので、またあんなオフ会出来たらいいなと思っております。

当時私はハリスホーク、オカメインコ2羽、コザクラインコ、ヨウム、キバタンと大家族になってしまいました。

ハリスホークをメインにずっと過ごしていたので、岡本さんと会ってからは野生のインコの生活がどのようなものなのか興味はありました。

それから4年という年月が経った2019年、唐突に上がってきたこのツイート。

今まで誰も撮影に成功したことがない10万羽以上のセキセイインコの大群。

これを追い求めていたんだと言わんばかりの決死の撮影となりました。

遠くからの撮影だと虫の大群?なんの大群?と思いますが、これが野生のセキセイインコです。

あなたの家やペットショップなどで見るインコさんたちが野生では群れとなって飛んでいる姿。

野生ではみんなで力を合わせて外敵から身を守ったり、水を求めたりして過ごしているんだなぁと分かる動画です。

 

このツイートがきっかけとなり、再度連絡を取ることになったのですが、「今度都内に行くので是非お会いしましょう!」とご連絡が。

野生のワカケホンセイインコを都内の方まで撮影に行くついでに時間があればということで打ち合わせさせていただきました。

当日、新宿で待ち合わせしたのですが街に似合わないカメラ機材(総重量10キロ越え)をもって新宿に来る姿は色々な意味で野性味あふれる姿でした。

岡本勇太さんが野鳥カメラマンを目指した理由

高校2年生の時に飼育したオカメインコの「コンピー」

ペットとしてのオカメインコを知ることになったのだが岡本さんの中で興味が湧いたのは野生のインコの生活。

その時飼育本などを見てみても、野生では集団で生活していることやオーストラリアの内陸部にいるという情報だけでした。

「どんな生活をしているのだろう?コンピーは1羽でここにいるのに野生のインコは集団生活なのか」

そこから野鳥にも興味を持ち、オカメインコを飼育した翌年にはカメラを購入。

飛来してきたコハクチョウを撮る日々が続いていた。ここから岡本さんのカメラマン生活が始まる。

オーストラリアに初渡豪

野生のインコへの興味は衰えることなく、オーストラリアにいる師匠に連絡を取ってみると今年はセキセイやオカメが多いから一緒に行こう!と誘われ初渡豪。

2泊3日の旅でしたが、6000羽~10000羽の大群と出会う。

家では1羽のコンピーだけだったが、野生下では大群で生活している様子を目の当たりにし世界が変わった。

野生のインコに魅了された岡本さんは野生のインコ撮影のために2011年までに3度オーストラリアに行くことになりました。

2011年 新宿で写真展 一つの区切りに

このオーストラリアで撮影した野生のインコを題材に新宿で写真展を開催。

野生のインコの写真展で一つ形になったと喜びました。

だけどまだまだ消化不良のなか、区切りをつけていいのか?もう上積みはないのかもしれない。そんな葛藤があったものの1度野生のインコ撮影からは離れることになりました。

この時24歳。その後は写真家から離れ、新聞記者として働くことになる。

ただ、野鳥の撮影は続けており、地元小田原の市鳥「コアジサシ」の繁殖活動と自分自身を重ねることとなった。

2015年 コアジサシと共に再度奮起

現在の住まい小田原の市の鳥「コアジサシ」が近くの河川に毎年やってきており、その撮影をしていた。

毎年渡ってくるコアジサシだったが、川の氾濫で巣がダメになってしまったり、カラスに追われてしまったりと3年間繁殖に失敗している姿を見て憐れんでいた。

もちろん今の日本環境が良いとは言えない現実もあります。

コアジサシは、河川の中州や海岸線の砂浜・造成地等の裸地環境に飛来し、5月から8月にコロニーを形成しますが、コアジサシが利用できる良好な環境は人の影響によって減少しています。また、コロニーを形成することができた数少ない場所も、自然災害や外敵による影響で、安定して子孫を残すことができないのが現状です。そのため、環境省版のレッドデータでは絶滅危惧Ⅱ類に、都道府県版のレッドデータでは、45都府県で絶滅が懸念されるカテゴリーに分類されています。また、コアジサシは国境を越えて渡りをするため、オーストラリア、中国、ロシア、アメリカとの間で結ばれている二国間の渡り鳥条約の中にもリストアップされており、これに基づいて、絶滅のおそれのある野生動植物の種の保存に関する法律(種の保存法)では、国際希少野生動植物種に指定されています。

引用:日本鳥類保護連盟

このときにサイエンスカフェの公演を行なったのだが、科学雑誌Newtonの方がおり、企画が通って野生のインコ写真が8ページ載ることに。

そのころコアジサシは、4年目の渡りで営巣に成功。ヒナたちを連れ旅立っていきました。

岡本さんは自分自身の体験をそこに重ね、再度オーストラリアへ野生のインコ撮影をしようと再度奮起した。

ワーキングホリデーで長期滞在

ワーキングホリデーで就労ビザを取得。2015年から2年半ほどオーストラリアに滞在し、バナナファームでバギング(バナナにカバーをつける仕事)をしていました。

バギングやハンピングで稼いでいる人が多いと仰っていました。

バナナファームでは外仕事は基本男性で

  • バギング(バナナに房をかける仕事)
    専用のバギーで移動しバナナの房にカバーをかける仕事。
    基本一人作業でほぼバギーの運転に費やすことが多い。
  • ハンピング(バナナの房を抱えてトラクターまで運ぶ仕事)
    体力的には一番きつい仕事で、60キロ以上あるバナナの房を抱えて運ぶ。
    外仕事のため雨が降ると余計大変。
  • ハンギング(バナナの房をチェーンにかける)
    スピード命ですが体力はそれほど必要ない。機械に慣れれば問題なさそう。

女性の場合は内仕事

  • パッキング(バナナを箱に詰める仕事)
    通称パッキングペイ スピードが要求され、仕事が早い人は昇給できるファームもありそうです。
  • カッティング(バナナを小さくカットする仕事)
    ナイフを使うため怪我に注意。ナイフの扱いに慣れていない人にはオススメできない。
  • ソーティング(バナナの選別作業)
    商品にならない痛んだバナナを選別する仕事ですが、慣れないうちは手が痛くなることも。

慣れるとはいいますが、私はバギングぐらいしかできなさそうです…。

バナナファームでの一般的な仕事を紹介しましたがこれ以外にもたくさんの仕事があります。

ただ、時給は日本よりも高く20豪ドル程(1700円ぐらい)週4~6日仕事があり、長時間の勤務が可能であれば日本にいるより稼ぐことができるようです。

実際オーストラリアではパジェロを購入し、休みの日は野鳥の撮影に行くという充実した日々を送っていたという岡本さん。

目覚ましは野生のキバタンの鳴き声。毎日充実していた様子が目に浮かびます。
我が家にキバタンはいますが、隣の部屋で叫ばれる目覚ましとはわけが違いますね。

10万羽を超えるセキセイインコの大群

ワーキングホリデーから帰国後も野生のインコに関する撮影や執筆などを行いながら過ごす日々。

その時、オーストラリアでセキセイインコの大群が発生しているとの情報を手に入れた。

滅多にない出来事らしく、カメラへ収めるために再度オーストラリアへ向かいました。

それがこの動画。

色々な書籍にも紹介され、良くも悪くもニュースなどで取り上げられた動画となりました。

なかなかここまでの大群を撮影することは難しく、オーストラリアの広大な大地をレンタカーを駆使して探し続けた岡本さんの執念はすごいなと思います。

実際問題荒れ地を走るためパンクしたり、道中の苦労も絶えなかったようです。

番外編:機材や旅費はどうしてる?

24歳までに色々な機材を揃えたのですが、トータルでかかった費用は300万から500万ぐらい。

もちろん新しい機材を買った後は古い機材は売却したりして資金繰りしていました。それでもトータルそれぐらいの金額かかっています。

今は個人事業主として撮影が主な仕事です。撮影と言っても色々なお仕事がありますが、やはり鳥さんの撮影に携わりたいなという思いがあります。

オーストラリアもトータル4回行きましたが、旅費だけで1回50万円弱かかっており、資金面は常にカツカツです。

コンゴウインコを撮影しにエクアドルにも行きましたが、現地では見つからず…。エクアドルの遠征費は100万弱かかりましたが、目的のコンゴウインコは撮影できず。

今ではペットとして人気のシモフリインコ、ウロコインコ、アケボノインコ。そして大型のボウシインコなどの撮影ぐらいしかできなかったためリベンジがしたいとのことでした。

まとめ

野鳥の撮影、野生のインコにかける情熱というのは多分日本人で1番なのではないかと思います。

今後も撮影に行くということなのですが、資金面が心もとない現状。

現在出版している書籍や、DVD、家庭のインコさん撮影などお仕事に繋がることならご相談くださいと本人も仰っていました。

私の猛禽話と岡本さんの野生のインコ話。そんな講演誰か企画してみませんか?

野生のインコに興味をもった方は是非こちらもチェックしてみてください。