マーケティング

STP分析ってなに?知るべきポイントと活用方法をまとめて紹介!

マーケティングでは様々な調査や分析方法が登場します。多くが英語の頭文字をまとめたものやカタカナの名前で一見ややこしく、違いがわかりにくいですよね。

でも、ひとつひとつを日本語訳したらけっこう簡単。英語やカタカナだから難しく感じがちなだけなんです。

今回はマーケティングの中でも重要度の高いSTP分析の解説をします。マーケティングにおいて大事なSTP分析ですが、これも中身はシンプルなことです。ところが、シンプルであるがゆえに、ちゃんと理解できていない人がいるのも事実です。

わかりやすい基礎的なことなのでしっかりと押さえておきましょう。

STP分析とは

STP分析はマーケティングにおけるフレームワーク(分析方法)の一つです。STPはSegmentation(セグメンテーション)、Targeting(ターゲッティング)、Positioning(ポジショニング)のそれぞれの頭文字をとったものです。

また、STP分析をするときはS→T→Pの順番で行うとスムーズにできるとされています。
STP分析を行う目的は大きく3つあります。

  • 顧客のニーズを整理する
  • 他社との競合を避ける
  • 自社の強みを明確にする

では、これらの目的のために何をするのか、STPの3つをそれぞれ見ていきましょう。

Segmentation(セグメンテーション)

セグメンテーションは直訳すると「分けること」、転じてマーケティングでは「市場の細分化」とされています。市場や顧客を様々な要因と軸で細かく分類して、ペルソナ像まで絞り込むことです。

ペルソナ像とはイメージを絞り込んだ「一人」の人物像のこと。「○○年代の男性」よりもっと詳細な「○○歳△△出身、仕事は□□、趣味は○△□の男性」といった具合です。実際にそういう人が実在するかしないかは別とし、それくらい詳細に条件で「分ける」ことがポイントです。

市場は消費財市場と生産財市場の2つに分けられます。この市場を分ける軸はたくさんあります。ここでは代表的な軸をご紹介しましょう。デモグラフィック、ジオグラフィック、サイコグラフィック、ビヘイビアルの4つです。「またカタカナがたくさんでてきた」と思うかもしれませんが、下の表でカッコ書きしてあるものが日本語訳されたものです。消費財市場と生産財市場でそれぞれ多少呼び方は変わりますが、中身はそんなに変わりません。

セグメンテーション

これらをもとにセグメンテーションしてペルソナ像を作ります。

Targeting(ターゲッティング)

ターゲットの名の通り、ターゲット(対象)とする市場を決めることです。イメージはまさにダーツ。細かくセグメンテーションしたうち、どの市場をターゲットとするか絞り込みます。

自社に適した市場を決めるために考慮すべきポイントとして5Rがあります。

  • Realistic Scale…市場規模
  • Rate of Growth…成長性
  • Rank & Ripple Effect…優位性と波及効果
  • Reach…達成
  • Rival…競合

5Rは「Response…反応の測定可能性」を含めて6Rとする場合もあります。

これらの5R(6R)を統合して考え、自社に適したターゲットを探ります。

また、ターゲッティングは大きく3つに分類することができます。

  1. 集中型マーケティング…狙う市場を絞り込み、狭い範囲に商品を提供する。市場規模は大きくないが、需要があるところには大きな需要がある。高級ブランドやニッチな商品はこのケースが多い。
  2. 差別型マーケティング…複数の市場に異なる商品を提供する。似た商品で別のものを売るケースや、機能やセットの組み合わせを変えて売るケースなどがある。多くの自動車メーカーが取り入れている手法。
  3. 無差別型マーケティング…セグメンテーションで分けた市場を敢えて無視し、広い市場に共通の商品を提供する。幅広い顧客に働きかけることができるが、最近は消費行動が多様化しているため有効手段とは言い切れないことも増えている。アメリカの大手飲料メーカーも行っており、その商品は日本でも全国各地を問わず共通して売られている。

細かくセグメントしたからターゲッティングも狭くしなければならない、というわけではありません。自社の強みを最大限に活かせる市場を決めるのがターゲッティングです。

Positioning(ポジショニング)

ターゲッティングで狙いを定めた市場を調査し、自社がその中でどの立ち位置を目指すのかを決めることです。

例えば野球で、守備がいない場所があったとしましょう。そこにボールが飛んで来たら誰が取るのでしょうか?取りに行くのに全員遠いのでは守れませんよね。そうならないために全体のバランスよく守備が配置されています。一方、打者によって守備の配置を多少変えることもあります。

つまり、全体の守備バランスや打者の特徴に合わせて守備の位置を変えるのです。マーケティングにおけるポジショニングでは、全体のバランスが「市場」、打者の特徴が「顧客のニーズや需要」となります。

セグメンテーションやターゲッティングではたくさんの軸や観点から市場の絞り込みをしました。

ですがポジショニングで大事なのは「一度に多くの指標で比較しないこと」。多くの指標を持ち出して比べるとややこしくなってしまいます。

明確にするために、一度に用いる指標は多くても4つほど。シンプルに、わかりやすくすることがポジショニングでは求められます。

ポジショニングを行う際によく使われるのがポジショニングマップです。これを用いることで市場を可視化できるので、よりわかりやすくなります。

2つの指標を縦軸と横軸にとり、どういった商品があるか、他社はどこに位置付けているか、などを記入し、自社の立ち位置を定めます。

ポジショニングマップ

この例では価格と年齢層を軸にしましたが、他にも販売地域や家族人数、商品の雰囲気やデザイン(柄や装飾が多いのかシンプルなのか、かわいい系かかっこいい系か)など、様々な指標があります。

指標となるものはたくさんありますが、軸は縦軸と横軸の2つだけ。ポジショニングマップを見てわかる通り、比べる指標の数は少なくすることが、わかりやすくする大事なポイントです。

STP分析を最大限活用するには

STP分析

ここまでSTP分析そのものについてお伝えしましたが、いったいどのようなときに使うと効果的なのでしょうか?

ここでは、STP分析を使う2つのタイミングと、併せて使うと効果的な他のフレームワークについてお伝えします。

狙うべき市場を探すとき

セグメンテーションやポジショニングを通して、意外なニーズや空白の市場が見つかることも少なくありません。

また、同じ市場の中でもより詳細にグループ分けをするので、もっとターゲットが明確になることもあります。

自社の優位性を確認する、見極めるとき

STP分析をすることで他社との違いが明確になります。ターゲッティングやポジショニングを行うと、他社との競合に勝ちやすくなったり、そもそもの競合を避けたりできます。
他社と差別化ができて、競合をさけることができれば、価格競争に陥ることもなくなります。

一緒に使いたいフレームワーク

マーケティングでは、一つのフレームワークをそれ単体で使うことは滅多にありません。他のフレームワークや考え方の観点などとの合わせ技がほとんどです。ここではSTPで活用できるフレームワークや視点の例をお伝えします。

  • 3C分析…Customer(顧客)Competitor(競合)Company(自社)の三者の分析。ニーズと他社が提供しているもの、自社が提供しているものなどから、本来のニーズや自社の立ち位置を探るのに役立つ。
  • 5R(6R)…競合や市場を知るうえで押さえておきたい視点。市場規模が大きいから狙うべき、競合が多いから諦めるべき、と考えるのではなく、それらを踏まえ自社が利益を出せる市場を見つけ出すことが大事。
  • SWOT分析…Strength(強み)Weakness(弱み)Opportunity(機会)Threat(脅威)。自社=内部環境の良いところと悪いところ、社会や競合=外部環境の自社にとっての良いところと悪いところを調べる。

SPT分析に活かせるフレームワークはまだまだありますし、ここで挙げた3つに活かせるフレームワークも存在します。様々な分析方法や観点が、それぞれを支えあっているイメージを持っていてください。どの分析結果が活かせるかは考え方次第です。

STP分析のまとめ

さて、多くのカタカナや英単語が出てきましたが、以前よりは理解できたでしょうか?改めて今までの話をまとめてみましょう。

STPとは、

  • セグメンテーション:市場の細分化
  • ターゲッティング:狙うべき市場の決定
  • ポジショニング:市場の中での自社の立ち位置の決定

これらを行うことで、顧客のニーズを整理する、他社との競合を避ける、自社の強みを明確にすることを目指します。

また、STP分析を行う上で他のフレームワーク=分析方法や、様々な比較軸や観点が大事なこともお伝えしました。その例として、STPそれぞれの段階でデモグラフィックやサイコグラフィック、5R(6R)、ポジショニングマップがよく使われます。他にも3C分析やSWOT分析など多くのフレームワークがあり、お互いが支えて役に立っています。

マーケティングのことを学ぼうとするとどうしても沢山の分析や比較軸の名前が出て来たり、カタカナや英語が多かったりして難しく思えますよね。ですが、何の頭文字でできているのか、その単語がどんな意味なのかを解けばシンプルなものです。

マーケティングの本質を理解し、それぞれの目的がわかれば後は自分の頭で考えるのみ。相互作用しているものも多くあるので、この機会に色々知ってみてください。

マーケティングそのものについては別記事でまとめていますので、是非ご活用ください。

https://web.raptorperch.co.jp/marketing/